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東京地方裁判所 平成4年(ワ)9902号 判決

浦和市〈以下省略〉

原告

右訴訟代理人弁護士

松澤宣泰

永井義人

東京都中央区〈以下省略〉

(送達場所 千葉県市川市〈以下省略〉)

被告

徳山貿易株式会社

右代表者代表取締役

Y1

千葉県市川市〈以下省略〉

被告

Y1

千葉県流山市〈以下省略〉

被告

Y2

右訴訟代理人弁護士

建入則久

主文

一  被告らは、原告に対し、各自金七〇〇〇万円及びこれに対する、被告Y2については平成四年六月二九日から、その余の被告らについては同年八月七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告らの負担とする。

三  この判決は仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

主文同旨

二  請求の趣旨に対する被告Y2の答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

(一) 原告は、a大学b学部教授である。

(二) 被告徳山貿易株式会社(以下「被告会社」という。)は、主として海外先物取引の受託・取次業務を営む株式会社である。

(三) 被告Y1(以下「被告Y1」という。)は、被告会社の代表取締役である。

(四) 被告Y2(以下「被告Y2」という。)は、被告会社の常務取締役(ただし代表権なし)であると同時に同社の営業部長として、原告に対して直接に営業・勧誘活動を行った者である。

2  被告らの不法行為

(一) 被告らが行っていた海外先物取引の仕組自体の違法性

被告会社は、公正な海外先物取引業者を装って委託保証金名下に一般市民から金員を騙取するという不法行為を組織的・継続的に実行してきた詐欺会社である。すなわち、

(1) ①被告らは、狙いを定めた市民に対し、短期間で絶対に儲かるとか、取引を始めるには絶好の機会である等の断定的判断を含むセールストークを駆使して勧誘し、顧客をして、注文をするとそのままの形で市場に取り次がれ、益勘定になった場合には顧客の自由意思によりいつでも取引を終了することができ、その際には被告会社に預けた委託保証金(以下「委託証拠金」「保証金」「証拠金」などともいう。)のほか、利益金(損勘定の場合は、損金を差し引いた清算金)等が返還されるものと誤信させて取引に誘い込み、顧客から委託保証金名下に金員を騙取し、②次いで、顧客に承諾させた売玉(未決済の売約定)又は買玉(未決済の買約定)を建てると、委託手数料として委託保証金の一割相当額を委託保証金から差し引き、被告会社は、原則として客とは反対の玉を建て(向い玉ないし差玉向い)、顧客の玉と被告会社の玉とを同数合わせて一組の「スプレッド取引」として海外の商品市場に取り次ぐ業者にこれを依頼し、③あるいは、取り次いだと称して実際はこれを市場に取り次がず、顧客から預かった委託保証金を社内に留保し、自らのために費消し(これを「呑み行為」という。)、④また、顧客ごとに取引及び現在の評価高を記載し、日々取引した玉の値段を照合し(これを「値洗い」という。)つつ、益勘定、損勘定のそれぞれの場合に応じて詐欺的・強要的な様々なセールストークを駆使して不当に新規取引に誘い込み、委託手数料・委託保証金名下に顧客から多額の金員を騙取し、逆に顧客への出金を様々な理由を付けてできるだけ減らしていき、⑤顧客からの取引終了、決済(手仕舞い、仕切り)の依頼があった場合には、いま決済をすると投資した金額が丸損になってしまうがそれでもいいのか等と様々な理由を付けて結局これに応じないという行為を繰り返した。

(2) 向い玉により、顧客と被告会社の利益が相反するため(顧客が利益を出せば反対玉を持っている被告会社はその利益分の損失を被り、逆に顧客が損をすればその損失分は同社の利益となる。)、被告会社としては、顧客に損害を与えるための各種の方策、いわゆる“客殺し”の手法を駆使し、顧客の損失を直ちに会社の利益とするという構造的詐欺システムをとり、これを会社の営業方針として行っていたものである。

(3) このように、被告らが行っていた海外先物取引の仕組自体が違法というべきである。

(二) 原告と被告らとの取引経過(海外先物取引における詐欺)

被告Y1及び被告Y2は、被告会社の中心的メンバーとして、共謀の上、原告に対し、次のとおりのいわゆる“客殺し”の手法を駆使して詐欺行為を実践したものである。すなわち、

(1) 原告は、これまで商品先物取引の経験も知識も全く有していなかったが、平成元年四月、被告会社の従業員A(以下「A」という。)から海外先物取引の勧誘を受けたことに伴い、同月一七日、被告会社との間で海外先物取引受託契約を締結した。

(2) 原告は、右受託契約に基づき、同月二六日、被告会社に対して大豆一枚の「買い」の保証金として金五〇万円を預託し、その際、被告会社との間で「建玉が二〇パーセント以上下落した場合は転売して手仕舞いし、清算する。」旨の約束を交わした。

(3) ところが、被告会社は、原告との右約束に違反して右建玉を手仕舞わなかったばかりか、保証金の預託を受ける前に原告に無断で「売り」を建てた。

(4) 原告は、被告らから、保証金を原告のために立て替えてしまったので金五〇万円を支払ってくれと欺罔され、これに応じる義務があるものと誤信して、同年五月二三日、被告会社に金五〇万円を更に預託した。

(5)① 同年六月七日、被告会社は、原告に迷惑をかけたことを詫び、損を取り戻すために被告会社名義の建玉を原告に譲るので金三〇〇万円を支払ってほしいといい、このときも原告は被告らの甘言に欺罔され、被告らにいわれるままに金三〇〇万円を支払った。

② 同月一二日、被告会社は、原告名義で保証金一〇〇〇万円分の玉を原告のために新規取引したので、保証金の不足分金七〇〇万円を預託するよう要求し、原告は、これに応じる義務があるものと誤信して、被告会社に金七〇〇万円を預託した。

③ 右預託に際して、原告は、被告会社に対し、これ以上の新規取引をしないことと現存する玉のできるだけ早い仕切りを要請し、被告会社もこれを承諾した。

④ 右のような承諾をしてからも、被告会社は更に取引(以下に述べるような無断売買、利乗せ満玉、転がし、途転、両建等を含む。)を継続し、同年八月二一日、被告Y2は、原告に対し、被告会社の判断ミスで原告からの預託金一一〇〇万円が全損になってしまったので、これを取り戻すために更に保証金が必要であると申し向け、原告が、現金がないというのに対して、「自分の責任で損害を取り戻す。」、「私のプロの腕をみてくれ。」、「お金は被告会社の方で都合をつけるので現金でなくてもよい。何か財産的価値のあるものを提供してほしい。そうでないと今までにつぎ込んだ金一一〇〇万円は丸損になってしまうが、それでもいいのか。」などと申し向けた。

⑤ 原告はそれまでに投下した資金を回収するため、同月二八日、原告所有の軽井沢の土地(長野県北佐久郡〈以下省略〉の山林)の権利証とゴルフ会員権証書(cゴルフクラブ)を被告Y2に交付した。

(6) 同年九月六日、被告Y2から原告に対し、値洗いで利益が出たが、更に儲けてもらうため、その利益を保証金として上乗せして他の玉に買い換えたという内容の電話がかかり、被告会社の無断売買が判明した。

(7)① 同年一一月一七日、被告会社から原告に対し、右(6)の買換えが失敗したので、全損を回避するために両建の必要がある旨の説明があり、原告はやむなく銀行から借金して金一〇七〇万円の現金を被告会社に預託した。

② 原告は、右預託に際して、被告会社に対し、どのような損が出ようとも年内には全建玉を手仕舞いして清算するように懇請し、同社はこれを承諾した。

③ 被告会社は、原告に対し、同年一二月七日、原告から同年八月二八日に預かった前記(5)のゴルフ会員権を金八五〇万円、軽井沢の土地を金一八〇〇万円で処分し、かつ、右合計金二六五〇万円を保証金として充当したと伝えてきた。

④ その他、被告会社は、前記②の合意に反して、七回にわたって無断売買を行った。

(8) 平成二年一月、被告Y2から原告に対し、「原告から預かった金五〇〇〇万円がすべて損になってしまった。しかし、ここで取引を止めたら何の意味もない。会社の方で責任を持つからこのまま取引を続けさせてください。」との申出があったので、原告は、「もうすべての取引を止めてくれ。」と繰り返し述べたものの、被告Y2の「投下した金五〇〇〇万円を回収しなくてもいいのですか。このままだと土地の代金を含む預かったものすべてがなくなってしまう。それでもいいのですか。」、「実は会社に内緒で手張りした建玉を転売したところ、利益が出たので、お詫びの印に金一五〇万円をお渡しします。今度こそ儲けてもらいます。」等々の言動に押し切られてしまった。

(9) 同年三月一日、被告Y2から原告に対し、取引は順調であり更に担保となるものがないか、一週間ほど預かるだけである旨の電話が入り、原告はまたしても被告Y2の言葉を真実であると誤信して、住宅資金として蓄えてきたワリショー(金二〇〇〇万円相当)を同人に手渡した。

(10) その後、被告Y2からは何の連絡もなかったので、原告は、毎日のように被告会社に電話を入れ、全建玉の手仕舞いと清算の要求を繰り返したが、被告会社は「判りました。」、「Y2に伝えます。」、「Y2はおりません。」等と回答するのみであり、原告の右要求を無視し、仕切拒否を続けた。

(11) 同年四月一九日、被告Y2から原告に突然電話が入り、現在の建玉は、原告の利益を出すために保証金なしで行っているので、取引を止めるには、保証金一五〇〇万円の預託が必要であり、そうすれば、被告会社に預けた現金とワリショーを返してもらえること、手張りで利益が出たのでお詫びとして金二〇〇万円を支払ってくれることを聞かされた。そのため、原告は、もはや被告らのいうがままに動くしか術がなく、被告Y2に、右同日、金一〇〇〇万円、同月二三日、金五〇〇万円、合計金一五〇〇万円を手渡した。

(12) 同年五月二四日、原告は、被告Y2から金二〇〇万円を受け取ったのを最後に預託金の返還をいっさい受けていない(返還された預託金は、結局合計金三五〇万円にとどまる。)。

(三) 被告らによるゴルフ会員権の無断譲渡行為

(1) 原告は、被告Y2に対し、平成元年一〇月二四日、亡父B名義のゴルフ会員権(dゴルフクラブ、時価二五〇〇万円相当)の名義変更手続の代理権を授与し、右ゴルフ会員権証書を交付した。

(2) ところが、被告らは、右委任の趣旨に反し、共謀の上、原告に無断で被告会社の借財のために右ゴルフ会員権を譲渡担保に供した。

(3) そのため、原告は、右ゴルフ会員権証書を取り戻すことが不可能となってしまった。

(四) まとめ

被告らは、共謀して、海外先物取引の委託保証金名下に原告から金品を騙取しようと企て、前記(二)で詳述したとおり、平成元年四月二六日から平成二年四月二三日までの間に、原告に対し、真実は同人から保証金名下に入手する金品を自ら費消してしまうつもりであったにもかかわらず、右意図を秘匿したうえで、原告から強引に取り付けた注文につき市場への取り次ぎをしないという呑み行為をし、あるいは、原告の委託玉に被告会社の自己玉を対当させる向い玉による取り次ぎをし、原告に損害を被らせ、それを被告らの利益とするために種々の“客殺し”の手法を駆使することによって、真実は保証金を返還する意図などないのにあたかもこれがあるかのように装い、原告の注文どおりにきちんと市場に取り次ぎ、原告から要求があれば直ちに手仕舞い、清算金(委託した保証金に損益金を加減したもの)を支払うかのように装い、短期間で絶対に儲かるとの振れ込みで不当に原告を取引に引き込み、また、損害分はすぐにでも回収してみせると申し向けるなどの欺罔行為をし、その結果、その旨誤信した原告から、前記平成元年四月二六日から平成二年四月二三日までの約一年間に合計九度にわたって現金合計金三六七〇万円並びに金一八〇〇万円相当の土地の権利証、金八五〇万円相当のゴルフ会員権及び金二〇〇〇万円相当のワリショーを委託保証金名下に交付させ、また、右一連の取引における被告Y2に対する信頼関係から、dゴルフクラブの会員権証書をも被告Y2に名義書換を依頼させた上で預かったものの返却せず、これらを騙取したものである。

3  被告らの責任

(一) 被告会社は、会社ぐるみで構造的・継続的に詐欺商法を行ってきたものであり、本件においても同様の方法により原告を欺罔して後記損害を被らせたものであるから、同社自身が不法行為責任を負う(商法二六一条三項、七八条二項、民法四四条一項)べきである。また、少なくとも、被告Y1及び被告Y2の後記不法行為は、被告会社の「事業の執行」につき行われたものであるから、被告会社は民法七一五条により使用者責任を負うべきである。

(二) 被告Y1及び被告Y2は、被告会社の中心的メンバーとして詐欺商法の立案・推進に参加し、共謀して海外先物取引及びこれに付随する一連の不法行為を構成する金品騙取行為を行ったものであるから、民法七〇九条、七一九条により不法行為責任を負うべきである。

4  損害

前記2において述べたとおり、原告は、被告らに対し、現金合計金三六七〇万円、金一八〇〇万円相当の土地の権利証、金八五〇万円相当のゴルフ会員権及び金二〇〇〇万円相当のワリショー並びに金二五〇〇万円相当のゴルフ会員権を騙取されたが、被告会社からは金三五〇万円の返還を受けただけであるから、原告の損害額は金一億〇四七〇万円となる。

5  よって、原告は、被告らに対し、詐欺による不法行為を理由とする損害賠償請求権に基づき、損害金合計金一億〇四七〇万円の内金七〇〇〇万円及びこれに対する不法行為後(訴状送達の日の翌日)である、被告Y2については平成四年六月二九日から、その余の被告らについては同年八月七日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する被告Y2の認否

1  請求原因1の事実は認める。

2(一)  同2(一)の事実はすべて否認ないし争う。

(二)  同2(二)の事実について

冒頭の事実は否認する。

(1)の事実のうち、契約締結日が平成元年四月一七日であることは否認し、その余の事実は不知。

(2)の事実のうち、原告が被告会社に大豆の初回取引の保証金として金五〇万円を預託したことは認め、その余の事実は否認する。

(3)、(4)の事実は否認する。

(5)①ないし④の事実は否認する。⑤の事実のうち、原告が被告Y2に軽井沢の土地の権利証及びゴルフ会員権証書を預けたことは認め、その余の事実は不知。

(6)の事実は否認する。

(7)①の事実のうち、原告が被告会社に現金一〇七〇万円を預託したことは認め、その日時については不知、その余の事実は否認する。②、④の事実は否認する。

(8)ないし(11)の事実は否認する。

(12)の事実のうち、その日時については不知、その余の事実は否認する。ただし、被告Y2は原告に対して金二〇八万円を支払ったことはある。

(三)  同2(三)の事実のうち、(1)の事実は認め、(2)、(3)の事実は否認する。

(四)  同2(四)の事実は否認する。

3  同3の主張は争う。

4  同4の事実は否認する。

三  被告Y2の主張

1  原告は、個々の売買の委託契約、委託者名義の個々の売買及び反対売買をしたこと、その結果として個々の委託手数料及び売買差益金が発生し、原告が手数料相当額及び差損金相当額の損害を現実に被ったことを具体的に特定して主張しておらず、主張自体失当である。

2  被告会社がいわゆる“客殺し”の手法を駆使して、構造的・継続的に詐欺商法を行っていたという事実はなく、当然、原告からの注文に対しても、呑み行為、両建、難平、途転、転がし等を行ったものではない。

第三証拠

本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

理由

第一被告会社及び被告Y1の関係について

被告会社及び被告Y1は、適式な呼出しを受けながら、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を明らかに争わないものと認め、これを自白したものとみなす。

第二被告Y2の関係について

一  請求原因1の事実(当事者)は、当事者間に争いがない。

二  請求原因2(一)の事実(被告らが行っていた海外先物取引の仕組自体の違法性等)について検討する。

成立に争いのない甲第七、一〇、一一号証、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから原本が存在し、かつ、真正な公文書と推定すべき甲第一二ないし二二号証、弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められ、乙第一、二号証、被告Y2本人尋問の結果中のこの認定に反する記載ないし供述部分は前掲各証拠(特に、被告Y1が、甲第一二、一三号証において、この認定事実をほぼ自認していること。)に照らし、たやすく信用することができず、ほかにこの認定を覆すに足りる証拠はない。

1  被告Y1は、昭和五八年八月、被告会社を設立した。

2  被告Y2は、昭和六〇年一一月ころ、被告会社に入社したが、被告Y1とは旧知の間柄であり、被告Y1の腹心として信頼されており、しかも、長年にわたって先物取引業界に身を置いてきたこともあって、入社当初から営業部長(一年くらい後には常務取締役営業本部長となる。)として、営業部門を統括していた。

3  被告会社においては、顧客からの注文玉を自社名義で海外の取次業者に取り次ぐ際、顧客の注文に対し、同一銘柄・異限月による同枚数の自社玉を向い玉として対当させて建てる方式(いわゆるスプレッド方式)の採用により、海外商品先物取引市場に預託しなければならない証拠金は不要か、又は極めて小額のもので足り、顧客から預かった委託保証金をほぼ全額社内に留保できることを利用し、同方式を採用し、時にはいわゆる顧客の注文を呑んで取引市場に取り次がないなどして、右委託証拠金をほぼ全額社内に留保するようにしていた。

もともと、委託保証金は、顧客の相場取引における損失等を担保するためのものであり、顧客に利益が出れば、利益金はもちろん、委託保証金についても手数料を控除した残額を、損失が出ても、損失額及び手数料を控除したその残額を、顧客の求めによりいつでも返還すべきものであるが、被告会社においては、正規の手数料収入だけでは会社を維持していけないため、委託保証金を役員報酬、社員の給与、会社の一般経費等として費消していた。

しかも、被告会社の採用したスプレッド方式は、顧客からの注文玉の三割程度を目安として自社玉を向かわせ、残りは顧客同士の玉を向かい合わせる通称「差玉向い」と呼ばれる方式であったため、被告会社としては、顧客に利益を出されては、その分をあらかじめ預かった保証金に上乗せして返却しなければならないことになり、保証金を留保して自らのために費消するという所期の目的が達成しえなくなってしまうものであった。

そのため、被告会社の経営を続ける以上、顧客の利益を出すことはできず、ことさら損失を被らせ、その損失が大きくなったところで取引を終了させるといういわゆる損切りをさせる必要があったので、出金をできるだけ抑えつつ、被告会社では、「顧客管理」と称して、営業社員が勧誘してきた新規客に対し、正規の海外先物取引業者であって誠実に客の注文を市場に取り次ぐかのように装い、顧客ごとに値洗いの結果により、損益状況を算出し、それに応じて、今後値上がりすることは確実であり、取引をすれば絶対に儲かる旨を強調し、値上りの根拠となる「材料」のみを説明し(顧客の不利になる情報はいっさい伝えない。)、いつでも手仕舞いして保証金と利益金を受け取ることができるといって安心させて言葉巧みに取引を勧誘し(こうした一連の話術を「セールストーク」という。)、様々な理由をつけて顧客に不必要な取引を継続させ、手数料を増大させるとともに、その間、両建や追加保証金等の名目で新たに委託保証金を預けさせるなどした上、最終的には、相場取引を隠れ蓑としながら、損切りに持ち込み、委託保証金を返戻しないで、会社の利益を最大限に図っていた(いわゆる“客殺し”の手法)。

5  被告Y2は、前記意味における「顧客管理」の仕事に携わっており、そのほかにも、被告会社の従業員の確保(スカウト・引き抜き等)や海外先物取引の仕組をはじめとして新人従業員が被告会社における仕事をこなしていく上でのノウハウ(前記“客殺し”の手法を含む。)を教育していたほか、営業部員として顧客と直接取引もしていた。

また、被告らは、後日におけるトラブルを防ぐため、主婦や老人は顧客とすることを避けて、大手企業に勤める人など社会的に地位のある人を顧客として選定することとしていた。

6  被告らは、右のような被告会社の営業実態について顧客に全く告知しなかったが、顧客が被告らのやっていることを知っていたとしたら、到底委託保証金を出すことはなかった。

7  被告会社は、昭和六三年一〇月ころから、後記のとおり、C(以下「C」という。)ら社員が大挙して退社したため、営業を続けることが困難となり、最終的に平成元年五月からは閉鎖状態となった。

8  C、D(以下「D」という。)、E(以下「E」という。)、F(以下「F」という。以下まとめて「Cら」ということがある。)は、もと被告会社に勤務していた(被告会社において、C、D及びEは営業部長、Fは営業部次長の職にあった。)が、被告会社を退社した後、C及びDが中心となって、昭和六三年末、海外商品先物取引の委託の取次ぎ等を目的とする光栄物産株式会社(以下「光栄物産」という。)を設立した(登記簿上は従前からあった興栄物産株式会社を商号変更した。)。

光栄物産は、被告会社の組織・営業方法等のすべてを踏襲しており、Cらは、光栄物産の幹部社員として、被告会社(被告Y2が教えていた)において学んだ前記“客殺し”の手法を駆使して多くの顧客に対し、顧客から海外先物取引の委託保証金名目で顧客の金員を騙取してきた。

そして、Cらは、平成四年七月三一日、東京地方裁判所において、海外商品取引の委託保証金名下に、顧客から現金及び有価証券等を騙取したとして、詐欺罪により実刑判決を言い渡された。右判決において、Cらの行為が会社(光栄物産)ぐるみの組織的、計画的な詐欺行為であると認定された。

三  請求原因2(二)、(三)の事実(原告と被告らとの取引経過)について検討する。

1  争いのない事実

原告が、被告会社との間で海外先物取引受託契約を締結したこと、被告会社に大豆の初回取引の保証金として金五〇万円を預託したこと、平成元年八月二八日、被告Y2に原告所有の軽井沢の土地の権利証及びcゴルフクラブのゴルフ会員権証書を交付したこと、同年一一月一七日、原告が被告会社に現金一〇七〇万円を預託したこと、同年一〇月二四日、被告Y2に、亡父B名義のゴルフ会員権(dゴルフクラブ、時価金二五〇〇万円相当)の名義変更手続の代理権を授与し、右ゴルフ会員権証書を交付したが、これが原告に返却されていないこと、以上の事実は当事者間に争いがない。

2  右争いがない事実に加え、成立に争いのない甲第一号証、二号証の一ないし六、三号証の一ないし九、四号証の一ないし四、九号証、二三号証、二四号証、原告本人尋問の結果及びこれにより真正に成立したものと認められる甲第五号証の一、六号証、弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められ、乙第一号証、被告Y2本人尋問の結果中の右認定に反する記載ないし供述部分は前掲各証拠に照らして、たやすく信用することはできず、ほかにこの認定を覆すに足りる証拠はない。

(一) 原告は、a大学b学部教授であるが、これまで先物取引とは全く無縁の研究生活を送ってきたものであり、本件以前に先物取引の経験がなく、また、その知識も有していなかった。

原告は、かねてから原告の大学の研究室に来ては色々なパンフレットを置いていた被告会社従業員A(当初はほかの商事会社の従業員)の熱意に動かされ、平成元年四月一七日、被告会社との間で海外先物取引受託基本契約を締結したが、その際、右Aの上司であるEが同行し、以後、原告との取引は右Eが担当することとなった。

(二) 右契約日の数日後、Eは原告に電話をかけ、「何か売買をしてAの実績に協力してほしい。」「決して損のない商品を選びます。」「値動きのチャートからみても絶対に儲かります。」として確実に儲かることを強調し、更に、万が一損が出ても保証金が半分になれば自動的に売買は停止するように法的にも定められている等のセールストークを駆使して、大豆の取引を強く勧めた。これに対して原告は、Aの実績になるならという気持ちも手伝って、最低単位の付き合いなら了解する旨の返事をしたところ、すぐにEから、原告名義で買いを入れたので金五〇万円を出してほしいという話があり、原告は、これに応じて、同年四月二六日、被告会社に金五〇万円の保証金を預託した。原告としては、あくまで軽い付き合い程度の取引を考えていたにすぎなかったので、Eに対し、商品の値段が下がれば売ってほしい旨を伝え、これに対しEは、二割下がれば売るという返事をした。

原告は、その後学会出席のため外国出張をしたが、帰国すると、大豆の値は下がっていたのに売却されていなかったばかりか、原告の依頼に反して更に原告名義の売り注文がなされており、説明を求めた原告に対し、Eは、「売ってしまっては損が確定してしまうので、先生に気の毒と考え両建にしておいた。」「時期をみてうまく処分すれば損を取り返せる。」「保証金は会社が立て替えているのですぐに支払ってほしい。」などと答えたため、原告は先物取引について全くの素人であったためこれに応じる義務があるものと誤信した結果、Eにいわれるままに、同年五月二三日、被告会社に対し、金五〇万円を更に預託した。

(三) さらに、同年六月七日、被告会社から、右の取引について、値動きがよくなく、原告に迷惑をかけたので、お詫びの印として被告会社名義の建玉(同社の説明によると、これは「鞘取り」といって絶対に損をしない方法をとっているとのことであった。)を譲るから、金三〇〇万円を出してほしいといわれ、原告は、いわれるままに、被告会社に対し、金三〇〇万円を支払った。右取引に際しても、被告会社は、原告に対し、うまく値動きすれば手仕舞いするという約束をしたが、結局これを守らず、同月一二日、原告が海外出張から帰ってくるなり、Eから、被告会社が原告名義で保証金一〇〇〇万円分の玉を原告のために新規取引したので、保証金の不足分金七〇〇万円を支払ってほしいと要求した。これに対し、原告は、Eに対し、これが最後の金であり一切の新規取引をしないこと、現在ある玉についてはできるだけ早い時期に手仕舞いすることを要請し、Eもこれを承諾したので、原告は、渋々被告会社に金七〇〇万円を預託した。

(四) その後、原告は、同年八月一二日、Eから、原告の海外出張のために原告に連絡がとれなかったので、Eが独断で売りを外し買い換えたところ、その日にストップ安のつくような大暴落があり、原告から預かった金一一〇〇万円のほとんどが損になってしまい、儲けてもらおうと思ってやったことがこんな結果となり申し訳ないことをした、もはやE一人では手に負える状態ではないので上司である被告Y2に相談し、原告のところへ同行する旨を伝えられた。そして、同月二一日、Eの言葉どおり被告Y2がやってきて、原告に対し、Eの独断による失敗を詫びるとともに、「こんなときこそこの道二〇年の私が対応するときです、安心してください。」「金一〇〇〇万円くらいなら数か月で取り戻してみせますよ。」「そうしたら少しは私のプロの腕を信用して長い付合いをしてもらえると思う。」「会社のほうでもこんなときのための準備金があるから面倒をみるが、先生も自分のためなのだからもう少し無理をして資金を調達してくれ。」などと自信ありげに申し向け、更に被告会社との取引を継続するように強引に勧誘したが、原告の手元には現金がなかったので、原告から被告Y2にその旨伝えたところ、被告Y2は、「現金でなくとも財産的価値のあるものであれば何でもよい。」といい、挙句の果てには、「今までにつぎ込んだ金が全部無駄になってもいいのか。」というような脅迫的ともいえる言辞をするに至った。原告は、気が動転するとともに、被告Y2の強引かつ再三にわたる勧誘のため藁をもつかむ気持ちで、同月二八日、原告所有(名義は亡父B)の軽井沢の土地(長野県北佐久郡〈以下省略〉)の権利証とcゴルフクラブの会員権証書を被告Y2に交付した。

(五) 同年九月に入ると、被告Y2は、原告に対し、電話で、被告Y2が行った売買がうまくいって損を取り戻したので責任が果たせてほっとしていること、更に原告に利益を得てもらうためにその利益を保証金に上乗せして別の異限月の商品に買い換えたことを伝えるとともに、原告から預かっている軽井沢の土地の権利証とゴルフ会員権証書も右の取引の利益で賄えるので返却するなどといって原告を安心させた。

その後、被告Y2からの連絡が途絶えがちになり、原告が、被告会社に電話してもろくに被告Y2に取り次がず、相場の様子等も全く知らせてこなくなったが、突然被告Y2から、電話で、右商品の買換えがうまく行かず、このまま取引終了ということになると金二〇〇〇万円の損になってしまうがそれでもいいのかといわれたため、原告は、手持ちの現金はなかったが、損害の拡大を防がねば、あるいは投下した資本を少しでも回収したいという気持から、同年一一月一七日、被告Y2に金一〇七〇万円を交付した。

(六) その後、被告Y2は、頻繁に原告を訪れては、原告に対し、取引が順調に行われているので安心してほしいこと、利益が出ていて今までの損も取り返せるので、時期をみて手仕舞いすることを考えているなどといって再び原告を安心させ、同年一一月後半に入ると、原告に対し、被告会社は、何でも扱っているので、前記軽井沢の土地の権利証とゴルフ会員権証書を売りたいなら高値で処分してやるとの話を持ちかけ、これに対して原告は、被告Y2への信頼を取り戻しかけていたことや研究者という自己の身分職責から右会員権証書等は不要と考え、被告Y2に右土地とゴルフ会員権の売却方を依頼した。そして、被告Y2は、原告の依頼どおり売却手続を進め、土地を金一八二九万五二〇〇円で、ゴルフ会員権を金八五五万四四〇〇円で売却したものの、売却の相手方から被告会社の会計のほうに売買代金が振り込まれるまではしばらく被告会社で預かっておくといって預り証を置いていったまま、結局右売買代金は原告に返却しなかった。

(七) 平成二年一月ころになると、再び被告Y2からの連絡がほとんどなくなり、原告が被告会社に必ず同月中に売買を停止するようにとの強い指示を出し続けていたところ、同月二五日、突然被告Y2から、指示どおり手仕舞いしたので報告に行くとの連絡が入り、その後、手仕舞い後の預り金残高は金二九三〇万一六一〇円であるといってその旨の預り証を置いていったが、原告が、いつ返還してくれるかを聞いたところ、被告Y2は、被告会社が面倒を見ている分の玉が終わらないので会計処理に時間がかかる、少し待ってくれといってなかなか清算金の支払いをしてくれなかった(そのころ、原告は、被告Y2から、金一五〇万円のみを受領した。)。そのため、原告が、電話で、一刻も早い清算金の返還を懇願すると、被告Y2から、「実は自分で仕込んでいた商品が利が乗っているので一部譲りましょう。」「会計もうるさいので何か形のある証券でも一週間だけ預けてくれると、すぐに現金で金二〇〇万円ほど渡せます。」との申入れがあり、原告は、被告Y2が便宜を計ってくれているものと信じて、同年三月一日、住宅資金に当てるつもりにしていた割引債券(ワリショー・時価金二〇〇〇万円相当)を一週間の約束で被告Y2に預けた。

ところが、被告会社は、いつになっても現金どころか右割引債券さえも返却する様子がなく、また、被告Y2からも全く連絡がなく、原告は、毎日のように被告会社に電話を入れ、右割引債券の返却、全建玉の手仕舞いと一刻も早い清算金の返却を要求し続けたが、被告会社は、被告Y2に取り次がず、原告の右要求を無視し続けた。

(八) 同年四月一九日、原告は、すべての売買を終わらせたい旨を申し入れると、被告会社は、「そんなにやめたいのなら、被告会社で立て替えている保証金を埋めてくれればすべて手仕舞いにする。」「そうしてくれれば、預り金や割引債券、ゴルフ会員権証書が返せます。」との話であったため、原告は、一刻も早くこのような状態から逃れたい、早く資金等を返してほしいとの一心から、もはや被告らのいうことを聞くしかないと考え、銀行から借金して、同月一九日及び二三日に合計金一五〇〇万円を被告Y2に交付したが、結局、被告会社からは、同年五月二四日、金二〇〇万円の返却を受けただけでその他の預託金等の返還を受けなかった(この点、被告Y2は金二〇八万円を返したと主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。)。

(九) また、原告は、被告Y2から、原告が相続した亡父B名義のゴルフ会員権(dゴルフクラブ・時価金二五〇〇万円相当)につき、平成元年八月二八日ころ、原告名義に変更してやる旨の申し出があったため、右名義変更を依頼したが、被告らは、名義変更が完了した右ゴルフ会員権を被告会社が街金融業者から借入れるために、原告に無断で譲渡担保に供してしまった。そのため、原告は、右ゴルフ会員権の取戻しが不可能となった。

四  請求原因3の主張(被告らの責任)について

右認定事実によれば、被告会社は、公正な海外先物取引を業とするかのように装ってはいたものの、その実態は、善良な一般市民を的にして、組織的、計画的に、反復継続して金品を騙取するという詐欺商法を実践してきた会社であり、原告との関係においても、既に平成元年五月には被告会社は事実上閉鎖状態になっていたにもかかわらず、同年四月末から平成二年四月にかけて、先物取引についての何らの知識経験を有しない原告に対して、本件取引が海外市場での取引であって、日本国内で値動き等の情報を得ることが困難であるなど、その実態が分かりづらいことを利用して、被告らは、当初から委託保証金の大半を自社に取り込む目的で、本件一連の取引過程や内容について十分な説明をすることもなく、もっぱら絶対に儲かることを強調し、決して迷惑をかけないなどと言葉巧みに種々のセールストークを駆使した上で、ときには脅迫的言辞も加えて、正規の取引であるかのごとく原告を誤信させて強引に取引を勧誘し、値洗いの状況を都合よく利用して継続して取引を維持させて、取引を終了させたい旨の要求にほとんど応じず、かえって、両建その他の取引が真に必要であると思い込ませるなどして、原告から、多額の現金や有価証券その他の金品を交付させてこれを騙取し、最終的には原告に利益の出なくなる時期まで仕切拒否を続けて損切りさせていたものであり、前記dゴルフクラブの会員権の名義変更に係る取引部分についても、その詐欺行為の一手段として位置付けられるものであるから、被告らの行為は、結局のところ、被告会社が実践していた詐欺商法の一環として行われた一連の不法行為と認めるのが相当である。

特に、被告Y2は、このような被告会社の構造的な詐欺システムについて十分な認識を有しながら、あえて原告との取引に直接関与し、自ら原告を欺罔して多額の金品を騙取したばかりか、被告会社の中心的存在としてEら被告会社従業員を使って同様の詐欺行為を繰り返してきたものというべきである。

したがって、被告Y2は、被告会社及び被告Y1とともに共同不法行為者として原告が被った後記損害を賠償すべき義務を負うものというべきである。

なお、被告Y2は、原告の請求が個々の取引の具体的特定を欠いているため主張自体失当であると主張する。しかしながら、原告は、被告らの組織的、計画的な詐欺行為による不法行為を主張立証しているものであるから、直ちに主張自体失当であるとはいえないし、しかも、前記のとおりこれに沿う証拠は十分ありその旨の認定ができること、更に、本件では、被告会社は、委託管理書等営業関係資料を既に全部処分しているし、被告Y2も、本件取引当時、自己の行動記録や顧客とのやりとり、商品の値動き等を詳細に記載した手帳をつけていたにもかかわらず、捨てたとしてこれを提出しないものであること(甲第二三号証、原告及び被告Y2の各本人尋問の結果、弁論の全趣旨により認められる。)などを考慮すると、被告Y2において、正式に売買の取次ぎをしたことにより不法行為に当たらないことを具体的な取引状況を踏まえて反証しない本件では、被告の右主張は理由がない。

五  請求原因4の事実(損害)について

前記三2において認定した事実によれば、原告は、被告らの不法行為により、現金合計金三六七〇万円、軽井沢の土地(売却代金一八二九万五二〇〇円相当の損害)、cゴルフクラブのゴルフ会員権(売却代金八五五万四四〇〇円相当の損害)、割引債券(金二〇〇〇万円の損害)、dゴルフクラブのゴルフ会員権(時価金二五〇〇万円相当の損害)、以上合計金一億〇八五四万九六〇〇円相当の金品を騙取されたものであり、被告らからは合計金三五〇万円の返還を受けたにとどまるから、結局、合計金一億〇五〇四万九六〇〇円の損害を被ったことが認められる(なお、甲第二号証の一ないし六の預り証記載の金額を合計すると、金九二三二万〇七一〇円であり、これに前記dゴルフクラブのゴルフ会員権(時価金二五〇〇万円相当)を合計すると、金一億一七三二万〇七一〇円となるが、右甲第二号証の一ないし六の預り証が、原告が交付した金品をそのまま記載しているかについては疑問の余地があるから採用しない。)。

第三結論

よって、原告の請求は理由があるのでこれを認容することとし(本件訴状が被告Y2に送達されたのが平成四年六月二八日、その余の被告らに送達されたのが同年八月六日であることは、一件記録により明らかである。)、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条一項本文を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

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